簡単ステップで始める「さえずりで覚える野鳥識別」
散歩中に聞こえるさえずりの主を耳だけで見分けられるようになると、何気ない散歩が一気に「音の観察会」に変わります。いくつかの簡単な習慣を身につけるだけで、周りで鳴いている鳥が少しずつ聞き分けられるようになります。
ステップ1:歩く速度を落として「目的を持って」耳を澄ます
最初は、一度にすべての鳴き声を聞き取ろうとせず、ひとつのさえずりだけに意識を向けてみましょう。
音のする方向に顔を向けて、声とおおまかな位置を結びつけます。
それがはっきりとしたさえずりなのか、短い「チッ」「ピッ」といった地鳴きなのか、あるいは警戒の声なのかを意識してみましょう。
短いフレーズを頭の中で繰り返し、リズムや音色を記憶に定着させます。
ステップ2:さえずりをパターンに分解して聞く
まずはリズムに注目し、鳴き方が一定なのか、跳ねるようなのか、途切れがちな不規則なものなのかを感じ取ります。
次に音程の変化を聞き取り、メロディーが上がっていくのか、下がっていくのか、ほとんど変わらないのかを意識します。
スピードにも注意し、短いフレーズを素早く繰り返しているのか、ゆっくりとした長めのフレーズなのかを聞き分けてみましょう。
おおまかに音の「拍」や「音節」の数を数え、少ない音で鳴くのか、長く続くさえずりなのかを覚えておきます。
ステップ3:語呂合わせや言葉のフレーズに置き換える
聞こえたさえずりを、そのリズムに合う簡単な日本語のフレーズに置き換えてみましょう。
高い音・低い音の上がり下がりに合うような言葉を選び、音節の数も鳴き声と合わせます。
その鳥の声を聞くたびに、自分で作ったフレーズを心の中で(あるいは小さく声に出して)繰り返し、結びつきを強くします。
観察から帰ったら、小さなメモ帳やスマートフォンのメモアプリに、その日思いついた語呂合わせやフレーズを書き留めておきましょう。
ステップ4:音と場所・環境を組み合わせて覚える
自分が今どこにいるのか、その鳥がいるのは森林、公園、草地、農地、庭先など、どんな環境なのかを意識しておきます。
声が聞こえる高さにも注目し、高い木の梢付近なのか、低い茂みの中なのか、地面近くの草むらからなのかを聞き分けます。
時間帯や季節もあわせて記憶し、その時期その時間によくさえずる種類と結びつけて考えます。
これらの手がかりを使って候補を絞り込んでから、図鑑やガイドを確認するようにしましょう。
ステップ5:アプリや録音を使って練習する
信頼できる野鳥のさえずりアプリやウェブサイトを利用して、自分が聞いた鳴き声と聞き比べてみましょう。
スマートフォンで短い音声クリップを録音しておき、あとで家でじっくり聞き直します。
身近な種類を対象にした「さえずりクイズ」機能などがあれば、繰り返し遊び感覚で試して、瞬時の聞き分け力を鍛えます。
一度の練習で扱う鳥の種類は、身近な数種類程度に絞り込み、記憶に残りやすくしましょう。
ステップ6:可能なら姿も見て確認する
さえずりが聞こえたら、あわてて走り回らず、落ち着いて動きを探します。
双眼鏡があれば、体の大きさ、色合い、動き方を素早く観察しましょう。
耳で推測した種類を、野外図鑑やアプリの写真・イラストと見比べて確認します。
見た目での同定が違っていた場合は、自分の作った語呂合わせやメモを書き直し、次に同じ声を聞いたときに修正できるようにしておきましょう。
まとめ
野鳥のさえずりを耳だけで識別する力は、ゆっくりと集中して聞く姿勢と、単純なパターンの積み重ねから育っていきます。まずは身近でよく聞こえる数種類の声から始め、それぞれを覚えやすい言葉のフレーズに置き換え、鳴き声と場所・季節を結びつけていきましょう。丁寧な聞き取りと簡単なメモ、そして時おり姿を確認することを続けていけば、あなたの身の回りの小鳥たちは、やがて顔と名前のはっきりした近所の住人のような存在になっていきます。








